LOUVRE - DNP MUSEUM LAB
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  • 東京-パリ:2つのLDML
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作品・作家紹介
■作品:《銃騎兵》
銃騎兵 テオドール・ジェリコーは、フランス革命のただ中に生まれ、初め古典主義を学ぶものの、間もなく転向し、近代的な主題や同時代の動向を扱うようになります。殊のほか馬を好み、ナポレオン1世軍の軍服の華やかさに魅了されたジェリコーは、軍人や騎兵の油彩画やスケッチを次々と制作しました。今回(ミュージアムラボで)展示中の、無名の兵士を描いた《銃騎兵》もその一連の作品の一つです。
ジェリコーはそのモデルを、あらゆる社会的属性から解放し、さらにそのことによって歴史的な記憶からも解放することで、現実世界に対して抱くその関心を明らかにしています。この肖像画にはジェリコーの画風の真髄を見出すことができます。大きく、色彩豊かな筆致は、フランス画壇に君臨したダヴィッドの、マチエールの厚みのない透明絵の具を用いた画風とは対極をなしています。この作品においては、描かれた兵士の偽らざる情感が滲み出ており、それが公式肖像画に特有な、モデル称揚のための理想化を凌駕しています。その近代性は、ロマン主義の本格的なマニフェストたる《メデューズ号の筏》を予見させるものです。
■作家:テオドール・ジェリコー (1791-1824年)
テオドール・ジェリコー 1791年、ルーアンの裕福な家庭に生まれたジェリコーは、ごく若い頃から画家をめざし、古典主義の修業を積みました。やがて古代ギリシャ・ローマの古典的テーマを棄て、日常生活の諸主題を好んで描くようになり、それを英雄的行為の次元にまで高めていったのです。軍隊をテーマにした初期の大作の特徴である力強い筆致は、ナポレオンの従軍画家であったアントワーヌ=ジャン・グロの躍動感ある作風を思い起こさせます。また、生存者と瀕死の人々が所狭しと折り重なる《メデューズ号の筏》を見ても分かる通り、人間の苦難に対する思い入れは、ジェリコーの芸術の本質的な一要素を成しています。テーマの選定やその画風から、ジェリコーは台頭しつつあったロマン主義の立役者として重きをなすようになり、その作品は、ウジェーヌ・ドラクロワを筆頭とする画家世代全般に決定的な影響を及ぼすことになりました。ジェリコーは1824年、32歳で世を去りますが、その際、何点もの野心的な作品が未完のまま遺されたのでした。
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